こっこさん

実家に帰らせていただきました。jです。

久しぶりの帰省で色々と思うところもございますが、そういうのは置いといて今日はコレ!!

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著 こうの史代
『こっこさん』

あるところに、何処にでも居そうな小学生の女の子がいました。女の子は学校からの帰り道、大きな白い鶏に出会います。困ったことにその鶏は帰り道を塞いでいます。女の子は給食の残りのパンを鶏にあげました。すると鶏は道を開けてくれました。しかし、鶏は後をついてくりではありませんか。結局家までついて来た鶏を、女の子は飼う事にしました。目つきの悪い鶏『こっこさん』と、小学生の女の子『やよい』の奇妙な日常がここに始まったのです。


私は以前からこうの氏のいくつかの作品を見ていますが、そのたびに新しい感動を感じているような気がします。
この『こっこさん』は、日常系の漫画で、どちらかと言うとギャグよりの内容です。日常的な情景のなかで起こる様々な出来事としてのギャグは、実に面白い。腹をよじる様なものとは違う面白さがあります。でも注目すべきはそこではないのです。この人の作品にありがちな、哲学だか、シリアスだかの、悲しいとも淋しいともつかない場面。面白可笑しい気分で読み進めていると、『フッ』と別の場所に連れて行かれるようなあの気持ち、場面が、やはりこの作品の特徴なのだと思います(この人のほかの作品でもそうであるように)。これが才能というものなのでしょう。もう一つ、作者あとがきにも書かれていることですが、この漫画の端々から漂う“身近なものの死”に対する漠然とした不安、恐怖(とは違うかも)が印象的でした。あとがきによると、こうの氏は幼少の頃、やよいと同じように鶏を飼っており、その頃の体験を下敷きにこの『こっこさん』を描いているとのことです。また、『鶏達は凶暴で、あまり優しくしてやれなかった。その頃の思いをこめて描いている』とも言っております。かつてあまり構ってやれなかった鶏と過ごすということを自身の漫画の中でやりつつ、その鶏との淋しい思い出を、死の記憶を作品の中に反映させている(深読みしすぎですね)。例を挙げると、やよいの友達の「チクリン」は、警察官だった父を過去に亡くしており、父を忘れないために母の再婚でやってきた新しい父親の居る家を飛び出し、やよいの家に泊まりに来るエピソードがあったり、姉妹でタイムカプセルを埋めるとき、こっこさんの羽を入れたカプセルを見て、掘り返すときにこっこさんは生きているのだろうかと考える場面がある(真剣な場面ではないけど、そう取ることもできる)。私が一番考えさせられたのが、ページ右下のパラパラ漫画だ(よりにもよって)。最初描かれているのは白い楕円。そこにヒビが入り、やがて一匹のヒヨコが飛び出す。ひよこは自分が収まっていた卵の殻を食べて、成長する。そして見慣れた『こっこさん』の姿になる。こっっこさんは空を飛んだり虹に登ったりして一通り飽きると、座り込んで体を丸め、最後には、最初より大きな楕円になる。わたしにはこれが何を意味しているのか分からない。丸くなったのは、只の昼寝なのか、パラパラ漫画にありがちな原点回帰をいみしているのか(その割には最初の楕円と最後の楕円は大きさが違う)、こっこさんは永い眠りについたのか。多少強引な解釈だが、この辺がこの作者のこうの史代たる所以だろうと思います。普通のメディアで“死”は、只ひたすら悲しい、純粋なネガティブとして扱われます。しかし氏の作品でテーマにされる“死”は、それよりも一歩踏み込んだ、“死”という出来事にどう立ち向かい、乗り越えるのではなく、どのようにして付き合っていくのかについて言及されています。作者の身近に何があったかは知りませんが、この作風にこんな哲学的なテーマを付加するなんていうのは、凡人には思いつかないことです。それだけ深い人生を歩んできたと、想像を膨らませてしまう訳ですが、それは置いといて。実際、読んだ後こんなに考えさせられる漫画はそう無いです。

内容自体は長くも無いですので、書店で見かけたらぜひ手にとって読んでみてください。
きっと何か、知らなかったにしろ忘れていたにしろ、新しいものを感じるでしょう。





追記より本当の近況報告

いやぁ、ほんと。放置してしまいまして・・・

結果がこんなにはっきりアクセスカウンターに出るなんてねぇ。驚いたですよ。


本当だったら何か絵を描いてうpすべきなんでしょうが、帰省してたもので何も進んでいないんですね。本当申し訳が立たないこと請負ですが。変わりに長々レビュー書いてみたものの、長すぎて。

いや、まぁいいや。
次回、期待ヲスルネ。
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複素数

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新都社で『伯方さんと僕』という漫画を連載しています。http://neetsha.jp/inside/comic.php?id=12094
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